思いのほか批評性のある映画だった『3D彼女』

ブログの更新が半年も滞っていた。たまには思ったことをちょこちょこと。

■noteについて


先日出演したTBSラジオ『文化系トークラジオLife』のテーマは「課金」だったのだが、そこでnoteの話題になった(放送はリンク先でも、「ラジオクラウド」というスマホアプリでもきける)。

最近記事が話題になることも多いnoteだが、記事に課金したり、購読システムがある。共演の海猫沢めろん先生もやっているのだけど、なかなかおもしろそう。

正直僕が課金しても一切儲からないと思うけど、購読者がいればそこに責任が生まれることもあり、強制的に何か考えていることを(気を張りすぎない程度に)書ける。ブログはほっとくとこうなるけど、かといってTwitterにながながと書くのもだるい。となると、自分の思考メモ代わり兼ある程度人様に見せられるレベルのものをnoteに書くのもいいな、と思った。ちょっと9月中に開設しようかと思う(誰か購読する人いるかな?)。

それはそうとして、本題。

先日、9/14日公開の映画『3D彼女』の試写会に行ってきた。一応メディアに携わっている身なので、ありがたいことにちょこちょこ試写会の招待状がきたりする。試写会が縁で『ザ・キング』という韓国映画のパンフレットに寄稿したこともある(やはり自由にかけると脱線しつつダラダラ書いてしまう)。

この『3D彼女』、漫画原作の10代向け恋愛映画ということで、ここ数年(いやもう10年近く?)続いてる若手俳優起用した例のやつか、と思っていた。そして僕はなんとなくアレルギーというか、こういう映画は子供だましで、見るのは時間の無駄だと思っていた。

しかし結論から言うと、映画は面白かった。ただし、一般的な意味での面白いとは別。

■アニメを否定してアニメ化が進行する逆説?


公開前だし、業界のルールに詳しくないのでネタバレは極度に避けるけど(予めご了承ください)、簡単なあらすじを。主人公は冴えないオタク高校生で、ひょんなことから学校でも名高い美人のリア充と恋愛する、というもの。

作品を取り巻くオタクの表現は、戯画化のためとはいえちょっとなあ、というところもあるし、所々表現的に微妙なところが散見される。だけど、僕が興味深かったのはそこではない。

主人公のオタクはある意味でアニメから脱して現実世界(美人=リア充)と向き合うわけだけど、この作品はオタクとリア充の対比になっているようでなってない。オタクでもリア充でもどっちでもいいじゃないか、というPC(ポリティカル・コレクトネス:政治的公平)的な方向、という意味でもない。むしろ、全面的にアニメ的世界観が作品世界に充満しており、完全にアニメの勝利になっている、ということだ。

それは主人公がアニメを捨てない、という意味ではなく、主人公が現実世界と向き合うわけだけど、むしろその現実世界の方がよほどアニメ的な展開じゃないか、ということだ(何度もいうが原作のある作品といえども、詳細はネタバレなので省く)。

オタクとリア充の二項対立でも、両者の和解でもなく、完全にアニメ的な世界観が(作品内の)現実世界を侵食している。原作が漫画だからといえばそうだけど、これはかなり驚きだった。

こういう観点で本作を観ると、監督が意図しているかどうかにかかわらず、非常に観念的に作品を楽しむことができる。他の10代向け恋愛映画が同じかどうかはわからないけど、ゲーム的リアリズムというか『恋空』的というか、いわゆる<現実>がどのように描かれているか、そしてそれを10代のユーザーがどのように感じ取っているかを考えながら本作を鑑賞すると、マジで面白い。さすがに34歳になった僕が10代と同じようにキュンキュンはできないけど、本当にいろいろ考えさせてくれる映画だった(いや、僕が勝手に自分の論理に引きつけて読み込んでただけだけど)。

そして誤解してほしくないのだけど、僕は本作を批判しているのではない。面白かったし、むしろ、仮にこうした10代向け映画が本作と同じような構造を有しているのであれば、もっとたくさん見たくて、今この瞬間もはやくレンタルビデオ屋に借りに行きたくてしょうがないのだ(僕はネットフリックスもHuluも未加入)。

僕は2.5次元の舞台を鑑賞したことはないのだけど、どうなんだろう。何か近いものがあるのかな、とこちら2.5次元にも興味が湧いた(2.5次元は詳しくないので何も書きません)。

というわけで、映画を観ないとなんとも言えないと思うけど、とにかく今日はまたひとつ知らない世界に触れられてよかった。

一応断っておくと、この記事で使用している「アニメ」を、僕はバカにしているわけではない。いわゆる「現実」との対比としての「アニメ」という程度の意味しかない(これも詳しくはネタバレがあるから書けない)。むしろ作品内で差別されるオタクの「アニメ」的世界観が、リア充をも取り込んでいく、そのダイナミズムが僕にとっては面白かった。

気になった人はぜひ劇場へ。僕の言っていることがなんとなく伝わると嬉しい。いや、1800円を返せ!と言われても責任は持たないけど笑

そんなこんなで、たまにはブログも更新しよう。


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