2022.1.05『ドント・ルック・アップ』感想:テクノユートピアンの描き方をどう捉えるか

 新年なので、どこまで続くかわからないが日々の感想等を日記代わりに箇条書き程度に。
※コンテンツのネタバレあり。でも、ネタバレしても楽しめるはず。

Netflix『ドント・ルック・アップ』が話題なので観た。あらすじは簡単。トランプ的対立の時代を嘲笑する本作は、地球に彗星が衝突して人類が滅ぶことを突き止めた学者(レオナルド・ディカプリオ等)に対して、大統領(メリル・ストリープ)たちは本気にせず、あるいは本気にしても投票=人気取りに躍起になるため、適切な行動を取らないうちに彗星は地球に近づく...というもの。

興味深いのは、政権側に現れる企業バッシュのCEOピーター。おそらくピーターはピーター・ティールが由来か。とはいえ、作品のピーターはそれなりに高齢の、テクノユートピアンぽくない印象。

テクノユートピアンとは、『フォーリン・アフェアーズ・リポート』2021年12月号に掲載されていたイアン・ブレマー「地政学パワーとしてのビッグテック」で、ブレマーが分類したカテゴリー。

①中国を代表とする権威主義国家のナショナルチャンピオン

②アメリカのGAFA:グローバリスト

③テクノユートピアン

→イーロン・マスクや、最近のMETAのザッカーバーグが考えているメタバース+暗号通貨の世界もテクノユートピアンに近い。


テクノユートピアンは、テクノロジーの理想を追求すると素朴に捉えるならば、(ここから超ネタバレ)ラストに冷凍休眠+惑星到着後、裸のお偉方が(おそらく)みんな食べられる、というラストの描き方が、端的にテクノユートピアンの捉え方をやや露悪的に描いており、なんというか、稚拙さを感じた。


マスクは火星への植民を考えている(テスラで培ったEVは、ロケットに転用を考えているはず。多分誰かそういうこと言っているはず)。もちろん、ピーター・ティールとマスクを同列に扱っていいかは議論があるだろう。このあたり、いわゆる暗黒啓蒙関係の書籍を熟読していないので判断し難いが、一部の人々がテクノロジーを駆使して破滅から逃れようとする態度が、なんだか釈然としない。もうちょっとこのあたりの勉強しないとなあ。まあ、結末の食われる、という表現はテクノユートピアンへの批判なのでいいけど、正直つまらないなあと感じた。

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