ウェルク後の検索事情とヘルスケア大学について[デイキャッチ補足]

5/30日のTBSラジオ『荒川強啓デイ・キャッチ!』でウェルクについて扱った(音声はこちらから)。
Twitterでもつぶやいたけれど、元ネタとなった主な記事は以下

Googleは情報の正しさを判断するようになるのか? 偽ニュース対策で検索アルゴリズムを更新したGoogleのベン・ゴメス氏に聞く(web担当者Forum,2017/4/26)

放送内容を簡単に言うと、内容に問題のある医療情報サイトはなくなっておらず、それどころか検索内容によってはより問題あるサイトが検索に表示されてしまうというものでした。

グーグル様をもってすれば検索エンジンのアルゴリズムなんて簡単に変更できるんじゃないかと思っていたけれど、記事を読む限りは難しそうです。もちろんグーグルもビジネスでやっているわけだから、ある程度いじれないアルゴリズムもあるだろうが、それでもピンポイントで知りたい情報になればなるほど不正確な情報にたどり着く可能性が上がるという指摘は、グーグルを利用する僕達にとっても重くのしかかる課題だろう。バズフィードの記事にあるように「信頼性を重視しすぎると有益な情報が探せなくなり、ユーザーの要望を重視しすぎると健康被害をもたらす情報がでてしまう」という問題は、我々にとっての課題だと思われる。

とはいえ、やはり不正な情報を掲載するサイトが、広告費を使ってバンバン不正情報を世間に垂れ流すのが一番の問題だ。そこにはグーグルのようなプラットフォームの責任も重大だろう。お隣の中国では、検索大手のバイドゥの上位に上がった詐欺集団に騙され、命を落とした被害者が出てしまった事件もある(男子大学生の死が投げかけた波紋--百度と中国式検索の信頼性揺らぐ)。昨年のフェイクニュース問題に端を発するネット情報の『正しさ」をめぐっては、一層プラットフォームの責任が問題視され、FBもグーグルも対応を急いでいる。

◾「ヘルスケア大学」について

補足というより結論を再び述べたような投稿になってしまったような気もする。が、放送では時間の関係上省いた情報として、ウェルク以降批判が多い健康・医療情報サイト「ヘルスケア大学」について以下では述べておきたい。

本サイトの特徴は医師が記事の監修を行うといったもので、サイバーエージェント出身の坂本孝蔵氏が2010年に創業した「リッチメディア」が運営している(その他「スキンケア大学」など、用途によってサイト名が異なる)。調べてみるとすごいもので、2017年2月段階では監修する医者が3000人だったのが、2ヶ月後の4月には4000人を突破している(ちなみに記事によれば、2016年7月の段階では1200人なので、8ヶ月で3.3倍になっている)。ものすごいはやさで参加医師の数が増えているが、これは記事を増やそうとしているからだろう。ヘルスケア大学のサイトには、広告出稿で運営されていること、だが内容は広告主から影響を受けないと宣言している(別にこのこと自体はまったく問題ないことを付け加えておく)。

けれども、4月あたりから記事内容に多くの批判が寄せられている。内容についてここでは触れないので、詳細は以下を参照してほしい
「第2のWELQ」? Yahoo!ニュースの指摘を受け、医療情報サイト「ヘルスケア大学」が釈明
→こちらの記事は批判というより騒動をまとめた記事です。

◾監修医師の匿名表記とはこれ如何に

これに対してヘルスケア大学は5/10日付けで声明を出している。声明では一部の記事に問題があることや、記事の非公開化などの対応、また一部の批判への反論や今後の対応などが述べられている。僕が気になっているのは、その声明の内容のある部分だ。声明の一部を引用したい(まだこのブログに不慣れなもので、引用方法等問題があったらすいません、適宜修正します)。


3.医師の匿名表記について(2017510 改訂)『病院での頻尿の検査と治療(URL http://www.skincare-univ.com/article/006737/)』の記事がインターネット上で誤りがあると指摘された際、事実確認と確認状況の記載のため一度記事を非公開とし、その後、再度公開した際には、監修医師の実業への影響を鑑みて、監修医師を匿名医師表記(ヘルスケア大学参画ドクター)へと変更させていただきました。また、このほかにも、記事の監修をした後に監修医師との契約が解除された場合等に、一時的に匿名医師表記にする場合がございます。いずれの場合においても、医師・専門家の監修を経た上で記事を公開している点に関しては、変わりはございません。(ヘルスケア大学に対するWebメディア上での疑義に関してのご報告と今後の取り組み,リッチメディア,2017/5/10 



この部分に僕は強い違和感を覚える。特に「監修医師への実業への影響を鑑みて」とはどういうことだろうか。医者は人の命を扱うプロであり、その責任は商業メディアの枠を越えているはずだ。例えば僕がデイキャッチの担当をやめたからといって、デイキャッチの中で発言してきたことについて誤りがあれば、その責任は一生僕に生じるはずだ。そんなこと言われなくたって誰でもわかっているはずだ。

医者が監修するということは、医者が責任を負うからこそだろう。間違っていたなら担当した医者が謝罪すべきだし、少なくとも実業に影響する責任は持たなければならない。ネットの記事だろうが書籍だろうが、責任ある立場の人の発言はそういうものだ。また「記事の監修をした後に監修医師との契約が解除された場合等に、一時的に匿名医師表記にする場合がこざいます」という一文。これも上記の点と同じく納得がいかない。こういう対応をすることで、ヘルスケア大学、スキンケア大学への不信感がますます募っているように思われる。


ヘルスケア大学の記事内容がどれほど正しいのかどうかについて、僕は医者でもないし記事をすべて詳しく読んだわけでもないので、誤りが一部であるのか広範に渡るものなのか、またその規模について判断できない。だが上記のような釈明を読む限り、やはりネット上の医療情報はなんだか信頼できないな、と思ってしまったのも事実だ。


ちなみに、ヘルスケア大学側が執筆手順などをITmedia NEWSの取材に対して公開している。こちらも引用すると



1)編集部で、読者の関心に沿ったテーマの記事案を作る、(2)医学的根拠となる資料を集める、(3)社外のライター(クラウドソーシングのライター含む)に執筆依頼する、(4)ライターが執筆した原稿を社内で確認する、(5)医師に監修を依頼する、(6)医師が赤入れした情報を記事に反映する、(7)再度社内で確認する、(8)公開する――という流れで制作。同社には、「医療分野の出版やメディアに携わったことのある編集者・ライターが複数いる」という。(「ヘルスケア大学」は信頼できる?執筆体制は」ITmedia NEWS20175/25


とのこと。 判断は読者に任せたい。ということで、ネットと医療情報サイトの問題はまだまだ注目すべき点があるように思われる。


と、気づけば長くなってしまったが補足はこれで終わり。最初なので気合が入りすぎたような。今後は最初の投稿にあるとおり、ゆるゆると更新していく予定ですー。

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